祇園祭

7月15日から17日に京都に行き、祇園祭を見た。

何年か前、真夏の京都に取材に行き、遠くから山鉾を見て、いつか祇園祭を見たいと思っていた。

祇園祭と一口に言うが、この祭はその規模がすごい。

まずその期間は7月1日から31日まで、7月一ヶ月がまるまる祭になる。

「京都の人」とひとくくりにしては失礼かとは思うが、僕の知っている京都の人がおっとりしているのにどこか着実に物事を運ぶその性質を、この祭を見ることで納得してしまった。

毎年このような祭をおこなうためには、ある期間をもって着実にするべきことをこなしていかないとうまくいかないだろう。その性質が「京都の人」にしっかりと定着しているような感じを受けた。

今回、行くまで何も知らなかったので、僕のように何も知らない人に祇園祭がどんな祭かと一言で説明すれば、疫病退散、厄よけのための祭だ。

863年に疫病が流行り神泉苑ではじめての御霊会がおこなわれる。869年にも流行り、このときに卜部日良麻呂(資料によっては日良麿)が66本の矛(当時の国の数)を立てて牛頭天王を祀ったことが伝統となる。昔は祇園御霊会と呼ばれていた。

一ヶ月の間に様々な行事が執り行われ、それぞれが有機的に進行し、おそらくすべての行事を見ようとするのは無理だろう。ウィキペデイァには以下のようにその日程が書かれている。しかし、実際にはもっと細かい神事や儀式がほぼ毎日のようにおこなわれていく。

  • 7月1日 – 吉符入(きっぷいり)。祭りの始まり。
  • 7月2日 – くじ取り式。
  • 7月7日 – 綾傘鉾稚児社参。
  • 7月10日 – お迎え提灯。
  • 7月10日 – 神輿洗い。
  • 7月10日から13日まで -山建て鉾建て。分解収納されていた山・鉾を組み上げ、懸装を施す。
  • 7月13日 – 長刀鉾稚児社参(午前)。
  • 7月13日 – 久世駒形稚児社参(午後)。
  • 7月14日 – 宵々々山。
  • 7月15日 – 宵々山。
  • 7月16日 – 宵山。14~16日をまとめて「宵山」と総称することもある。
  • 7月16日 – 宵宮神賑奉納神事。
  • 7月17日 – 山鉾巡行。
  • 7月17日 – 神幸祭(神輿渡御)。
  • 7月24日 – 花傘巡行。元々、この日に行われてた後祭の代わりに始められたもの。
  • 7月24日 – 還幸祭(神輿渡御)。
  • 7月28日 – 神輿洗い。
  • 7月31日 – 疫神社夏越祭(えきじんじゃなごしまつり)。祭りの終わり。

これだけ見ただけでも驚いてしまうが、調べれば調べるほどいろんな細かい行事が現れ、とても網羅はできないような気がする。それだけ細かいのは安土桃山時代から江戸時代にかけて京都では町組(ちょうぐみ)が整備され、山鉾町と寄町が定まり、それぞれの町が鉾や山を出すようになったからだ。それぞれの町がそれぞれの山鉾のために儀式を行う。山鉾は応仁の乱以前には58基あったそうだ。現在は35基あり、今年は3基が休んだため32基が山鉾巡行に登場した。

以下は宵山での山鉾の様子。

現在ではそれぞれの町だけで運営するのは難しくなり、35基の山鉾のうち21基は全国からのボランティアによって運営されているそうだ。

そもそも山鉾とは何かというと、厄神を乗せるための乗り物だそうだ。厄神は派手なものを好むそうだ。だから山鉾は世界中の派手な物を寄り合わせて作る。もっとも有名なのは函谷鉾(かんこぼこ)にかかっている16世紀末ベルギー製のタペストリーで1718年に函谷鉾町に住んでいた沼津宇右衛門が寄贈したのだそうだ。下の写真で中央の人形の下に見えているのがそのタペストリーの一部。撮影時にはどの鉾に何の絵がかかっているのかわからなかったのできちんと撮らなかった。残念。

函谷鉾の後ろ側にはエジブト風のタペストリーがかかっている。下の写真。

上の写真は鶏鉾の「ヘクトール王子と妻子の別れ」という16世紀末ベルギー製のタペストリーの近年復元されたもの。

このように派手な物が好まれる。この山鉾で京都市内を巡行し、厄神を集めて最後に解体する。だから山鉾は八坂神社には入らない。

山鉾の先頭となるのは長刀鉾(なぎなたぼこ)である。長刀鉾には生稚児が乗る。今年は稚児が西尾太一朗君(10)と補佐役の禿(かむろ)に増田伊眞君(11)と浅見主君(6)がなった。三人は今年、京都の有名人となる。ほかの鉾はみんな稚児の座に人形を使う。理由を調べたが、わからなかった。どなたかご存じの方は教えてください。

巡行の最後を見てました。動画はこちら。

今回もっと調べてから行けばよかったと悔やんだのは「神幸祭 神輿渡御」が見られなかったことだ。もう一泊しようかと考えたくらいだ。

八坂神社に10日から飾られた三基の御神輿が八坂神社から出発し、巡行していく。

18:30に祇園石段下に三基がそろうのでそこが見所らしいが、そこを17:30に素通りした。下はそのときの写真。

巡行した御神輿は「御旅所」と呼ばれる場所に鎮座する。ここに御神輿が鎮座するのは24日まで。その間、毎日無言でお参りすると願い事が叶うと言われている。これを「無言詣(むごんまいり)」という。昔は芸妓さんや舞妓さんがなんとか無言詣しようとするのをなじみ客がなんとか話させようといたずらを仕掛けたらしい。

「後祭(あとのまつり)」で華々しいのは「花傘巡行」と「還幸祭」で、24日におこなわれた。

こちらは今回見てないのでいつか見てみたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です