雨に打たれ 風に吹かれ
日にさらされた石柱よ
緑に包まれ優しく眠れ
季節が変わり 風が変わり
時代が移り変わっても
動かぬあなたを僕は見つめる
何千年もの昔から
月を愛でるあなたから
僕の心に手紙が届く
「命の編み目はさらに尊し」
僕の父の母の父の母の父の父の母
そのまた母の父の母の母の父の父の父
ずっと続いた先祖の父が
この石柱を きっと作った
無限に続いた父と母の編み目の中で
たった一カ所ほころんでいたら
今の僕はここにいない
何千年もの昔から 時を旅する石柱よ
僕らを見守れ
どこまでも続く命の編み目に
いつまでも絶えることのない
祝福の歌を奏でよ
——–
この詩はかつて「Aka-chic」というA4版で作ったプロモートマガジンの創刊号に掲載したものです。「Aka-chic」には田口ランディさん、テラウチマサトさん、谷崎テトラさんなどに寄稿していただきました。
アイルランドに行き、スライゴーでイェイツの墓参りをし、カウロウモア巨石遺跡群を見た晩に書きました。すらすらと詩ができたので「言葉が降りる」というのはこういうことなんだなと思いました。