前世について書いてみる

前世というものがあるのかないのか、僕にはよくわからない。あるといえばあるし、ないといえばない。どのような立場から考えるかによってあったりなかったりする。
あるという立場からしばらく書いてみたいと思う。

僕のまわりの人には何度も話したが、僕はこんなことを思っている。

母が死んだ2004年、1月に母が亡くなり、3月にバリ島に行った。そこではじめてンガベンを見た。バリのお葬式である。壮麗な儀式だった。帰ってきてその年の旅を文章にまとめようと思い、さて何を書こうかと考えた。当時氷川台駅のそばにモスバーガーがあった。夕方、そのテラスに座り、モスバーガーにかぶりつきながら目の前の中古車屋さんと民家の隙間にある小さな空から夕焼けを眺めていた。すると、僕の内面で何かがスルスルとつながっていった。一度に全部がつながり、「わかった」と思った。このときの体験は不思議なもので、わかった瞬間に何がわかったのかはよくわからなかった。ところがわかったことだけわかったのだ。

何がわかったのか。
前世というものが、どういうものかの一面がわかった。

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「瀬戸内国際芸術祭2016」に寄せて

5/25に東京大学の福武ホールで、未来へのメッセージ舎が主催した福武總一郎氏の公演を聴いた。

福武總一郎氏はベネッセホールディングスの最高顧問であり、公益財団法人福武財団の理事長でもある。トリエンナーレである瀬戸内国際芸術祭が今年三回目を迎えるにあたり、『「瀬戸内国際芸術祭2016」に寄せて』という演題でお話なさった。それぞれの島をどのように芸術化していったかをお話なさったあとで、一番印象に残ったのは終わり近くで語った話だった。

福武氏は、人が幸せになる方法を見つけたという。それはどういうことか。こんなことを語っていらっしゃいました。

みんな幸せになりたい。幸せになる方法とは、幸せなコミュニティをつくるということ。それはどういうものか? 年寄りが幸せなコミュニティ。いろんな経験を積んだ人、そういう人がしあわせにならないとダメ。そういう人が幸せだと若い人も幸せになれる。自分が幸せになれるというビジョンが持てるから。どうやったらお年寄りに笑顔があふれるのか?

お年寄りは少々のお金では動かない。箱ものを作っても喜ばない。

お年寄りの笑顔をつかむのは、アーティストが島に来る。ゴミのようなものを集めて作品を作る。島の人たちはいろいろと手伝う。お茶を入れたり、食事を作ったりする。そうして作品を仕上げたアーティストはいつか島を出て行く。都会から作品を見にきた人たちが、年寄りからいろんな話を聞く。なかにはでまかせもあるだろう。若い人たちが年寄りの話を「はあはあ」と聞くと、年寄りは自信を持つ。これが直島メソッド。

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