SAVING 10,000 自殺者1万人を救う戦い

web上に公開されている52分のドキュメンタリー映画を見た。『SAVING 10,000 〜 Winning a war on suicide in Japan』監督のレネ・ダイグナンはアイルランド人。なぜこのようなドキュメンタリーを撮影したのか、その動機についても映画のなかで語られる。

日本の自殺率の高さをいろんな観点からインタビューして探っていく。自殺なんて自分とは関係ないと考え、どうやったら楽しく生きていけるかを考えているような人は特に見たいとは思わない映画かもしれない。とても暗い内容なので見ていると鬱々としてくる。

日本人はあまり暗いことを語りたがらないので、このような内容についてあまり話し合う場がない。職場では話す時間がないだろうし、帰りがけに飲む場所でこんな話をしたら嫌われそうだ。だから、無関心を決め込む。それが実は問題なのかもしれない。本当に困ったとき、相談すべき相手がいない。

日本は本当のことが言えない状況にどんどん追い込まれつつある。

「左翼のクソども」とtwitterに書いたという理由で水野靖久参事官が処分されるようだが、そう言いたくなる気もわからないではない。「復興のために頑張っている」というのは、立場によってすることが全く違うからだ。そのことの概要はここに書いた。水野参事官の書いていることを読むと、言えることと言えないことのギリギリのところを書いているように僕には思える。政府はなんとしても日本全体を守りたい。一方で、左翼と呼ばれた人たちは、恐らく個人を守ることを必死に訴えていたのではないかと思う。そうだとすれば、左翼と呼ばれた人たちの言いたいこともわかる気がする。本当は両者のあいだで丁寧な会話が必要なのだろうが、そんな時間はないことにされる。すでに福島の対応は遅いと言われて大変なのだ。その板挟みに遭ってしまう官僚達は仕方なく言葉が荒れてしまうのだろう。

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The Coveがオスカーの前哨戦で勝つ

こちらで何度か取り上げてきた「The Cove」ですが、オスカーの前哨戦と言われている「ブロードキャスト映画批評家協会賞」のドキュメンタリー部門でベストドキュメンタリーに選ばれました。

この作品に対するアメリカと日本の温度差がよくわかります。日本が舞台なのだし、見てみたいと思いませんか?

この映画の概要はリチャード・オバリーというイルカ解放運動家が太地町でおこなわれているというイルカ漁を、このドキュメンタリー映画の監督と共同して映像に捉えるまでの物語です。イルカを殺すシーンは、確かに海が真っ赤となり残酷ですが、それはたいした問題ではないと思いました。牛でも豚でも屠殺のシーンは残酷なものでしょう。それより問題は、獲ったイルカをどのように処理しているかがわからないという点です。この映画によればイルカの肉は「クジラ肉」と表記されて売られているとのこと。つまり、私たちはクジラの肉だと思って食べている肉のいくらかが、実はイルカの肉であることをDNA検査で突き止めたというのです。

そのイルカの肉は明らかに水銀濃度が基準値を上回っていることが知られています。水銀を大量に摂取すれば水俣病となります。そのようなことをこの映画では伝えているのですが、この問題は日本国内の問題です。それをどうして日本では上映しないのでしょう?

地方のイルカ食の文化を守るのは賛成ですが、もし本当に水銀濃度が高いのであれば、そのことを多くの人に知らせるべきではないでしょうか? もしそのことが嘘であるなら、そのことを証明するべきではないでしょうか?

この映画は日本に対する反捕鯨運動と思われています。しかし、オバリーの活動は日本だけに限ったことではなく、アメリカでも展開しています。だからオバリーは別に「日本のイルカだけ」を保護したいわけではありません。アメリカでも囚われたイルカを解放していますし、イルカを兵器として飼い慣らそうとした海軍を相手に裁判を起こし勝訴しています。そういう男のドキュメンタリーなのです。

ところがなぜかメディアでは「日本の捕鯨を批判している映画」という風に見せています。

こちらでも書いたように日本人は捕鯨に関して大きな誤解をさせられているように感じます。何が問題なのか正しく把握しない限り、この問題の解決は見えてこないでしょう。

アメリカの人たちが何を思っているのか知らずに、国内だけで「アメリカ人は捕鯨の価値を知らない」といくら言っても何も変わりません。アメリカの主張を知った上で、反論すべきところは反論しましょう。それができないのなら日本人は、井の中の蛙です。

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