化学物質のビッグバン

昔から様々な化学物質が生み出されてきた。その速度は年々上がっている。多くの分野での技術向上のために化学物質を合成する手段が増えてきているからだ。これらの化学物質がどのような作用を及ぼすのか、たいていのものはきちんと調べられていると思うだろう。ところが違う。

たとえば環境ホルモン。この言葉をあなたは覚えているだろうか? いまでは内分泌攪乱物質という名前になっている。現在では起きている現象と化学物質のあいだに有意の関係が見出されないとしてほぼ無視されている。

毒性実験はどんどんスピードアップさせられている。効果のある薬物がなかなか輸入できないのは毒性実験に時間がかかりすぎるからだと言われる。しかし、毒性実験には時間がかかるものだ。なぜなら催奇形性実験は数世代にわたって実験されなければならない。もし時間をかけた実験ができずに、数世代先に催奇形性が現れる物質を取り込んでしまったら大変なことになる。しかし、そのような実験は軽視される傾向にある。

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「ザ・コーヴ(The Cove)」自主上映会再び

エルザ自然保護の会の辺見栄さんから「The Cove」の自主上映会をやるのでBlogに告知してくださいと連絡が来た。

「一般上映が6月にはなされるのに、どうして自主上映をするのですか?」と質問したところ、「一般上映版は太地町と水産庁が納得いくように字幕が変更されているからです」と返答が来た。

一般公開版では骨抜きにされてしまうテロップに、本当は何が書かれていたかを伝えるために自主上映会をするそうだ。

イルカの水銀汚染を訴えるための内容を、水銀含有量は基準範囲以内ですってテロップだけ変えるのだろうか? 一般公開されたら、そちらも見てみないとどういうことかよくわからないな。

オリジナルに近いテロップで見たい人は自主上映版を見ると良いらしい。詳細はこちら。

概要

「THE COVE」( ザ・コーヴ )上映 トークセッション

時: 2010年3月30日(火)

間: 19:00~22:00 *受付は18:40~

参加費:無 料(但し事前予約・当日受付でお渡しする簡単なアンケートへの記入が必要です。)

*詳細は下記をご参照ください。

場: 武蔵野芸能劇場(3階)小劇場 東京都武蔵野市中町1丁目15番10号

アクセス:JR三鷹駅 下車 北口から徒歩1(中央線(特快も停車)、総武線、東西線)

*北口を出て、右、線路沿いに歩いて、徒歩1http://www.musashino-culture.or.jp/geinou/index.html

主催・共催:映画とお話の会 代表 遠藤洋一 東京都福生市武蔵野台1-3-7 FAX 042-552-5156

エルザ自然保護の会、CIRCLETDRUMAGIKPangeaSeed

ご予約方法:メールにてお申し込みください E-mail umecham@jcom.home.ne.jp

*件名を「330日イベント申し込み」として、①お名前、②ご住所、③お電話番号4メディア関係の方は会社名を明記の上、上記メールアドレスまでお申し込みください⇒後日、受付担当者から「整理番号」を記載したメールを返送いたします。こちらが届いた段階で、座席が確保(自由席)されたこととなります。⇒当日、受付にお名前、整理番号をお伝えいただき、受付を済ませてからご入場ください。

*座席に限りがあるため、満席の場合は、ご予約いただいてもお断りさせていただきますが、ご了承ください。

*ご持参になったものを飲食される場合は1階及び3階ロビーをお使いいただけます。

なぜアメリカ人はイルカや鯨が大切なのか

The Cove」がついに日本でも一般上映されることになりそうです。

そうなると今度は日本人の認識とアメリカ人の認識のギャップにきっと驚く人たちが現れるでしょう。なぜアメリカ人はあんなにイルカや鯨が大切で、一方日本人はなぜ鯨を食べたがるのか、それが根っこの部分から理解できないと会話ができないですからね。

The Cove」を見ても、アメリカ人の根っこはわかりません。人によってはあまりにもきつい意見の押しつけで見ていられないと劇場を出ていく人もいるでしょう。実際に知り合いに我慢ならぬと出てしまった人がいます。

イルカや鯨がいつから大切にされているのかを調べると、アメリカ人の心情が少し理解できます。

わんぱくフリッパーがアメリカで放映されたのは1964年。それが日本で放送されたのは1966年からでした。この番組でイルカの人気が一気に高まり、水族館でもイルカショーを取り入れるところが増えたと言います。一方で60年代後半からヒッピームーブメントが盛り上がってきます。ヒッピームーブメントとは、ベトナム戦争の意義を疑問視する人たちが反対運動を起こし、愛と平和を訴え、自然への回帰などを唱えた運動で、様々な文化・芸術・思想を生み出していきました。アメリカ人の多くはこの運動に非常に大きく影響されています。

だから、1968年にアポロ8号が月の周回に成功し、地球の写真を撮影した際には、その写真がヒッピームーブメントの大きなシンボルとなりました。つまり「どんなに人が対立していても地球はひとつ」ということが、その写真を見ることでぐっと心に迫ったのです。

ほぼ時を同じくしてロジャー・ペインは鯨の唄を録音、研究し、その唄が鯨の間にどのように浸透していくのかを発表しました。その唄は海域毎に流行があり、つまりは世界中の海で歌われている唄がつながりを持っていることが示されました。そのことが海のワンネスを象徴することになったのです。

ジョン・C・リリーはイルカの脳や言語の研究について発表しました。この研究は1955年から始められ、終了したのは1968年でした。それ以降、リリー博士は少しずつその研究成果を発表していきます。そのことでいかにイルカが知性的であるかを示していきました。

1973年に発表された映画『イルカの日』では、リリー博士をモデルとして、イルカの研究をしている博士に育てられたイルカが軍に利用され、兵器にされてしまう物語が作られました。後年アメリカ海軍は実際にイルカを兵器として育て、現実の話となります。

これらの研究や映画がバックボーンとなり、イルカや鯨はアメリカ人にとって平和の象徴であり、地球がひとつであることの象徴となりました。だからこそ、過剰にそれを守ろうとするのです。それは自分たちの平和を守り、人類の統一を夢見ることの象徴であるからです。最近では地球環境保護の象徴としての意味が重くなってきています。

一方で日本人にとってのイルカや鯨はどのようなものでしょうか。

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