化学物質のビッグバン

昔から様々な化学物質が生み出されてきた。その速度は年々上がっている。多くの分野での技術向上のために化学物質を合成する手段が増えてきているからだ。これらの化学物質がどのような作用を及ぼすのか、たいていのものはきちんと調べられていると思うだろう。ところが違う。

たとえば環境ホルモン。この言葉をあなたは覚えているだろうか? いまでは内分泌攪乱物質という名前になっている。現在では起きている現象と化学物質のあいだに有意の関係が見出されないとしてほぼ無視されている。

毒性実験はどんどんスピードアップさせられている。効果のある薬物がなかなか輸入できないのは毒性実験に時間がかかりすぎるからだと言われる。しかし、毒性実験には時間がかかるものだ。なぜなら催奇形性実験は数世代にわたって実験されなければならない。もし時間をかけた実験ができずに、数世代先に催奇形性が現れる物質を取り込んでしまったら大変なことになる。しかし、そのような実験は軽視される傾向にある。

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オウム真理教の信者と一緒

311以前に、いま現実に起きていることをSFとして読まされたら、そんなこと起きるわけないだろうと作者に突っ返しただろうな。

だって、原発事故を起こして、周辺住民は継続的に放射性物質を浴びているのに、それでも原発を継続発展させようとして、海外に輸出までしようとして、そのようなことをしている政権を日本人は支持しているんだよ。

新しい常識はまったく理解不能だ。

経済三団体は被曝してもその症状が出るのは数%だから問題にせず原発を作り続けようと言っているようなものだし、政府はこんな状況でも景気が良くなるためには「放射性物質の多少の摂取はかえってからだにいいんじゃないの」と言いたいがごとくの行動をしている。

311以前にSFで読まされていたら、そんなこと起こるわけがないときっと誰もが思っただろう。ところが、実際にはそんな状況を受け入れている。

核廃棄物が増え続けても景気のためなら我慢するし、将来的に核爆弾を作る必要性が生まれるから原発を廃止しようとはしないし、食べ物に多少の放射性物質が入っていても、気にしなければ平気と多くの人が思っている。

これ以上の洗脳状態があるだろうか? オウム真理教の信者たちを馬鹿にできなくなってきた。

「仕方ないからがまんしている」というのはすでに洗脳されているのと同じだよ。

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SAVING 10,000 自殺者1万人を救う戦い

web上に公開されている52分のドキュメンタリー映画を見た。『SAVING 10,000 〜 Winning a war on suicide in Japan』監督のレネ・ダイグナンはアイルランド人。なぜこのようなドキュメンタリーを撮影したのか、その動機についても映画のなかで語られる。

日本の自殺率の高さをいろんな観点からインタビューして探っていく。自殺なんて自分とは関係ないと考え、どうやったら楽しく生きていけるかを考えているような人は特に見たいとは思わない映画かもしれない。とても暗い内容なので見ていると鬱々としてくる。

日本人はあまり暗いことを語りたがらないので、このような内容についてあまり話し合う場がない。職場では話す時間がないだろうし、帰りがけに飲む場所でこんな話をしたら嫌われそうだ。だから、無関心を決め込む。それが実は問題なのかもしれない。本当に困ったとき、相談すべき相手がいない。

日本は本当のことが言えない状況にどんどん追い込まれつつある。

「左翼のクソども」とtwitterに書いたという理由で水野靖久参事官が処分されるようだが、そう言いたくなる気もわからないではない。「復興のために頑張っている」というのは、立場によってすることが全く違うからだ。そのことの概要はここに書いた。水野参事官の書いていることを読むと、言えることと言えないことのギリギリのところを書いているように僕には思える。政府はなんとしても日本全体を守りたい。一方で、左翼と呼ばれた人たちは、恐らく個人を守ることを必死に訴えていたのではないかと思う。そうだとすれば、左翼と呼ばれた人たちの言いたいこともわかる気がする。本当は両者のあいだで丁寧な会話が必要なのだろうが、そんな時間はないことにされる。すでに福島の対応は遅いと言われて大変なのだ。その板挟みに遭ってしまう官僚達は仕方なく言葉が荒れてしまうのだろう。

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