「瀬戸内国際芸術祭2016」に寄せて

5/25に東京大学の福武ホールで、未来へのメッセージ舎が主催した福武總一郎氏の公演を聴いた。

福武總一郎氏はベネッセホールディングスの最高顧問であり、公益財団法人福武財団の理事長でもある。トリエンナーレである瀬戸内国際芸術祭が今年三回目を迎えるにあたり、『「瀬戸内国際芸術祭2016」に寄せて』という演題でお話なさった。それぞれの島をどのように芸術化していったかをお話なさったあとで、一番印象に残ったのは終わり近くで語った話だった。

福武氏は、人が幸せになる方法を見つけたという。それはどういうことか。こんなことを語っていらっしゃいました。

みんな幸せになりたい。幸せになる方法とは、幸せなコミュニティをつくるということ。それはどういうものか? 年寄りが幸せなコミュニティ。いろんな経験を積んだ人、そういう人がしあわせにならないとダメ。そういう人が幸せだと若い人も幸せになれる。自分が幸せになれるというビジョンが持てるから。どうやったらお年寄りに笑顔があふれるのか?

お年寄りは少々のお金では動かない。箱ものを作っても喜ばない。

お年寄りの笑顔をつかむのは、アーティストが島に来る。ゴミのようなものを集めて作品を作る。島の人たちはいろいろと手伝う。お茶を入れたり、食事を作ったりする。そうして作品を仕上げたアーティストはいつか島を出て行く。都会から作品を見にきた人たちが、年寄りからいろんな話を聞く。なかにはでまかせもあるだろう。若い人たちが年寄りの話を「はあはあ」と聞くと、年寄りは自信を持つ。これが直島メソッド。

“「瀬戸内国際芸術祭2016」に寄せて” の続きを読む

サスティナブルな21世紀の”まつり”とは? 概要

2015年12月3日、秩父夜祭の最中に開催された一般社団法人「まつりごと」の主催による『秩父夜祭フォーラム』にて講演をさせていただきました。そのときの概要です。

つなぶちようじの自己紹介を簡単にする。しかし、それだけでは説明しきれないという話。自分がいったい誰か?というのは、短い時間では説明しきれない。同様に「神とは何か?」や、「祭とは何か?」や、「神様を信じるとは?」など、なかなか一言では答えられない。

つなぶちはほぼ毎年のようにバリ島のニュピという祭に参加している。なぜそんな祭に参加するようになったのかというと、大学生の頃、ガムランのCDを聞いて、鳥肌がたったから。当時のつなぶちは「鳥肌が立つ=寒い・気持ち悪い」としか思えなかったため、ガムランを「気持ち悪い音楽」としか認識できなかった。

ところが時が経つに従い「鳥肌が立つ=寒い・気持ち悪い」以外の解釈もあるのではないかと思うようになった。それが決定的になったのは、2000年頃、作家田口ランディさんとヴォイスヒーラーの渡邊満喜子さんとツアーを仕立てて屋久島に行ったことがきっかけになった。山奥にある縄文杉を見に行こうとしていたが、その前日、田口さんの知り合いが縄文杉に行く途中に建っている廃校になった小学校の校歌の楽譜を持って来た。その校歌を廃校となった小学校前で歌って欲しいというのだ。そこでホテルのピアノを借りて練習した。縄文杉に行く当日、途中までバスで行ったのだが、そのバスの中で校歌を練習した。はじめは普通に歌っていたのだが、あるとき、ある場所から多くの人がなぜか涙が止まらなくなった。僕も特に悲しい訳でもないのになぜか泣いた。そのとき鳥肌が立っていた。いったいその感覚は何か? 後日、渡邊さんにそのことを話したら「つなぶちさんは神秘的なものを感じるのに鳥肌で感じるのではないですか?」と言われ、そうなのか?と思うようになった。すると実際にそうかもしれないと思うようなことにときどき出会うようになった。

ニュピという祭は毎年3月か4月の新月の日におこなわれる。その日はバリ島中の人たちが「外出しない、食事しない、火を使わない」という、日本で言えば物忌みとか、籠りという日だった。

ニュピの前日にはオゴオゴという祭をおこなう。ねぶた祭のねぶたのような大きな鬼のハリボテを町中で引き回し、土地におりてきた悪鬼を払うという儀式をする。それは節分に似ていた。節分は旧正月にやるものである。ニュピもバリ的に言えば、暦が新しくなる正月のような日におこなうものである。

“サスティナブルな21世紀の”まつり”とは? 概要” の続きを読む