宇多津の未来は幸せか? その1はこちら。
宇多津の未来は幸せか? その2はこちら。
メインパーソナリティ
小林弘幸氏
順天堂大学医学研究科大学院を卒業、ロンドン大学付属英国王立小児病院、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院などに勤務し、現在では順天堂大学病院管理学研究室と総合診療科の教授を併任、順天堂医療安全対策室の室長でもある。日本小児外科学会指導医、日本体育協会の公認スポーツドクターでもある。日本テレビ系列の「世界一受けたい授業」やTBS系列「テレビ未来遺産・命の輝きスペシャル」のナビゲーターなど数多くのテレビ番組に出演。書籍では『自律神経を整える。ストレスに勝つ!』や『ストレスが消える「しない」健康法』など多数。最新刊は『自律神経を整える小林式3年日記』。
モデレーター
尾中謙文氏
認知科学者、内閣府や総務省、ブラジル大統領、フランス大統領、シンガポール政府の戦略プランナーとして活躍。アートディレクター、作曲家、キャスターなども勤める。北京オリンピックの招致活動など、国内外で高い評価を受けている。コロンビア大学客員教授としても活躍している。
尾中 みなさんこんにちは。小林先生、よろしくお願いいたします。
小林 よろしくお願いいたします。
尾中 僕は脳科学の立場から、先生はドクターの立場からみなさんがどんな方向性で暮らしていけば幸せになるのかをお話しさせていただきたいと思います。まずは先生の一番のテーマである自律神経のところをですね。今日いらしているみなさんは自律神経いいと思いますが、お話ししていただけますか?
小林 今朝、高松空港に着いて、そこから車で来たんですけど、あまりこちらに住んでいる方には自律神経のお話しは必要ないと思いますね。私の順天堂というのは東京の皇居から500mくらいのところにありまして、日本で一番外来患者の多い病院なんですね。1日5,000人です。年間の手術件数は15,000件でして、これも日本一なんです。最近のトピックとしては天野篤先生ですね、天皇陛下の手術をした。私は天野先生とは同じ埼玉出身なんですけど、私の五年先輩です。病院があるのが御茶の水という場所なんですが、そこに五つの大学病院がありますから、医者にとっては殺伐としていて自律神経も乱れてしまいそうなんですけど、こちらに来ると整ってしまいますね。だからあまり自律神経の話がみなさんのお役に立つかどうかはわからないですけど、ただ重要なのはもっとよくすることができると思うんですよ。それが重要ですよね。
尾中 みなさん御存知のように、やる気が出るときにドーパミンという物質が出てくるのですが、やる気の出てくるホルモンが出てくるとからだのなかはどんな感じになりますか?
健康とはなにか?
小林 とにかく、みなさんに健康とはなんですか?と聞かれると何かとにかく答えますけど、これは実は医者もわかってないんですね。まともな答えができる人ってそういないんですよ。みなさんのからだのなかには60兆個の細胞がある。その60兆個の細胞に、どれだけ質のいい血液を流して上げられるかというのがすべてなんです。それが健康かどうかなんです。さきほどドーパミンの話が出ましたけど、何がやる気を起こすのかというと、みなさんもそうだと思うんですけど、朝起きて外に出て、さあ元気にやっていこうとか、知らないところに足を運ぼうかとかいうそういう気持ちになってくると思いますけど、そういうときにはドーパミンは出ているんですね。そういうとき何が違うのかというと血液の流れが違うんですね。たとえば雨なんかが降っていたとすると、暗くて家から出たくないと思ったりするときには、やっぱり血液の流れがよくないです。
尾中 新しいことを考えたり、新しいことをやるときには血流が急激に活発化して、脳の糖とヘモグロビンの代謝が良くなるので、そのときに脳が記憶していくというのが一般的に言われていますけど、記憶をするというのが脳にとっては大切で、いろんなことをやろうとか、考えたりしようとか、ものを作ったりしようとかいうときには何かを記憶して、それから始めなければいけないんですよね。記憶をすることでそのあとの判断や意志決定をやっているというんですけど、からだがやる気を起こしているときってどういうふうに、スポーツ選手と普通の人と、からだのなかは違うんでしょうか?
意識することしないこと
小林 それは全部一緒なんですけど、いまの話で大切なのは意識しているかどうかなんですよ。たとえば買い物でも、今日は豆腐を買いに行くんだと言っている買い物と、なんだかわからないけどスーパーに行こうかという買い物では全然違うんですよ。たとえばみなさんこの会場で緑ってどれですかって聞くと、椅子が緑だっていうんですよ。でも言われるまで椅子が緑だなんて誰も意識してないです。意識ってそういうものなんですね。だから自分が妊娠しているとやけに妊娠している人を見つけるんですよ。バスに乗っても、電車に乗っても。ところが、意識してないと妊娠している人なんて目にも入らないです。そこが重要なんです。意識をして物事をするのか、意識しないでやっているのかで大きな差が出るんです。意識して行動するのが大きいと思います。たとえば鯛を釣りに行こうと思えばここ、ザリガニを釣ろうと思えばここと考えるでしょう。意識しないとどこでもいいやってね、どこいくか決まらないでしょう。何するかを決めることが一番やる気を出すのに必要ですよね。
尾中 たとえばゴルフをやるときに普通の人がやるゴルフとプロの方のゴルフではどのように違うんでしょうか?
小林 ゴルフはパーでやるのが基本ですが、プロではそれより一打少なくするのが基本なんですね。アマチュアはパーでいければ大儲け、一打や二打多くてもまあいいかっていう感覚ですよね。そこが違う。その二打違うところが日々の過ごし方に出てくるんですね。
“宇多津の未来は幸せか? その3” の続きを読む