ニュピの前日、ウブドの交差点でブタカラのお祭りがおこなわれていた。一時間近く炎天下に立っていたので、木陰に入って休んでいたら、隣に怪しげな風貌の男が立っていた。リュックに「脱原発」と書かれていたので話しかけてみた。
「話しかけてもいいですか?」
「あ、ありがとうございます」
「原発の反対運動をしているのですか?」
「はい、さっきもそこで立っていたら警官がやってきて追い払われました」
「立っているだけで追い払われるの?」
「インドネシアでは脱原発を公で訴えると法律違反なんだそうです」
「なんで?」
「日本がインドネシアに原発を輸出しようとしていて、それに反対することを禁じているんです」
「そうなんだ。それでバリ島に来たの?」
「世界中旅してます」
「脱原発を訴えて?」
「はい、そうです」
「ホームページとかはあるの?」
「友達や仲間が作ってくれています」
「あなたのしていることをどうやって調べたらいいの?」
「ありがとうございます」
そういって一枚の紙切れを手渡された。